喉頭・音声

論文・執筆

1.声の異常、明日の健康、美唄市広報メロデイ 9月号:16、1994. 西澤伸志・・・(たばこと喉頭癌)
   声の異常で受診される患者さんには全員咽頭ファイバーにて、声帯の運動と音声をVTRに記録しております。後日患者さんが帰られた後、何度でも、また他の医師と検討ができるからです。平成5年6月から6年6月までの1年間、美唄労災病院耳鼻咽喉科にて声帯の異常を認めた患者さんは70名でした。タバコが原因の咽頭がんは4名、・・・以下省略。 
   @原稿は「喉頭」でしたが、刷り上った広報は「咽頭」になっていました。声帯は喉頭内ですので、喉頭ファイバーにて調べます。咽頭は喉頭とは申しません。当然、咽頭がんと喉頭がんの原因も治療方法も異なります。ちなみに上咽頭がんはEBビールスが原因といわれ広東や台湾に多く、ECFMGの試験(米国外で医学教育を受けた医者の米国医師国家試験)にも出題される有名な病気。下咽頭がんはアルコール度数の高い酒を飲む人に多く、扁桃にできた癌は中咽頭がんと申します。いずれもタバコとは関係ありません。声帯を中心とした喉頭内にできたものが喉頭がんですので音声に異常が生じます。尚、診療報酬上でも「喉頭ファイバーによる検査」の項目がありますが、「咽頭ファイバー」はありません。
   Aさらに広報の後半はオリジナルの原稿とは別なものに書き換えられております。「がん」は患者・家族の将来を左右する重さがあります。従って筆者は「がん」について注意の上に注意を重ね正確な記述をしておきました。

学会発表と抄録

2.若年女性のタバコによる音声障害(VTR)
 日本耳鼻咽喉科学会北海道地方部会第174回 1996.10.6 札幌市
 西澤伸志(美唄労災)
         15歳から喫煙し、音声障害を主訴に受診した2症例を供覧する。症例1. ○歳、高校生。主訴は声が出しにくい。喫煙は1日20本 1年間。最長発声持続時間(MPT)は3秒間。・・・中略・・・。すぐに禁煙指導した。初診時、右声帯中央に認めた白い病変は、1ヶ月後の手術時には消失していた。MPTは9秒まで延びた。一方、声帯縁の病変は変化していなかった。症例2. 22歳。主訴は声が出しにくい。喫煙は15歳から1日20本 7年間。19歳時にポリープ様声帯の指摘があった。・・・中略・・・。病変は両側声帯の振動中心部であった。MPTは6秒間であった。以上の症例を初診時、および手術時にビデオに記録したので供覧する。

1.被裂軟骨内転術の内視鏡的観察(VTR)        ・・・(音声障害の治療)
 日本耳鼻咽喉科学会北海道地方部会第170回 1994.10.16 札幌市
 西澤伸志(美唄労災)
         ボタロー氏管閉鎖術に合併した左反回神経麻痺症例に左被裂軟骨内転術を施行し、術前、術中、術後の声帯運動をビデオに記録したので供覧する。症例は○歳男子。主訴は聞き取り難い声。現病歴は生後18カ月目に上記手術を受け、術直後より泣き声が全く出なくなった。○学に入り「声の聞き取り難い奴」といじめられ、精査希望して、199○年○月○日当科受診。内視鏡検査で初めて左反回神経麻痺が判明。最長発声持続時間(MHT)は13秒であった。患児の学校での状況から○月○日手術施行。局麻下、経鼻的に内視鏡で声帯を観察しながら左被裂軟骨内転術施行。術中聴覚的に音声が改善したので甲状軟骨形成術?型は追加しなかった。MHTの術直後は16秒とわずかに延長したが、術後1カ月目には18秒、術後110日目には16.5秒と横ばいであった。6カ月目には、左右の声帯の高さが一致し、十分声門閉鎖が可能となり、MHTは28秒と大幅に延長した。小声も出せるようになって、現在に至っている。これらの喉頭所見を内視鏡を用いて順次ビデオに記録したので供覧する。

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